アンタルヤの非識字者(文盲)撲滅キャンペーン
県(İl)としてのアンタルヤの人口は、2000年度の人口統計によれば約172万人*1。
そのうち、読み書きの出来ない県民の数は、9万8千人に上る。
この数字から引き出される非識字率(文盲率)は、5.7%。
あるサイトによれば、トルコ全体の文盲率は78か国中33位、17.7%というから、トルコの全国平均に比べればかなり優秀な方ではあろうが・・・。
“アンタルヤに非識字者(文盲)を残すな”というスローガンのもと、アンタルヤ県知事アラアッディン・ユクセル(Alaaddin Yüksel)の主導によって2003年9月に始まった「国民教育支援キャンペーン(Ulusal Eğitime Destek Kampanyası)」の、ここ2年半の成果がこの度公表された。
アンタルヤ全域で開講された合わせて1,708件の読み書き教室(okuma yazma kursu)への参加者数は、合計で17,103人となり、非識字者の約17.5%の識字化に成功したことになる。
ちなみに内訳は、女性13,459人(79%)、男性3,644人(21%)である。
なかにはマナヴガット市ベシュコナック地域のように、遠距離のために教室への参加を促すのが難しく、マナヴガット市民教育課の署名の上に、「移動初等教育読み書き教室(Taşımalı İlköğretim Okuma Yazma Kursu)」が運営されたケースもある。
(2006年4月10日付Hürriyet紙アクデニズ版より)
現在でも諸事情で小学校にすら通うことの出来ない、通うことを親から許してもらえない子供たちの存在しているトルコ。
経済的理由、学校までの距離や通学手段、初等教育・義務教育に対する親の無理解・・・。子沢山の貧困家庭で、過去、犠牲になってきたのは常に女の子、女性たちであった。
だから、Hürriyet紙の記者が書く「女性たちの方が好成績」だった理由は、女性の方が意欲的だという以上に、女性の非識字率がそれだけ高いということを物語る。
たとえ夫や家族の理解が得られたとしても、交通手段の乏しい地域に住む女性に外出の機会を与えるのは、多少の困難を伴う。
家事以上にタルラ(田畑)での仕事を山ほど抱えた女性たちは、なおさらのこと。
彼女たちに教育の機会を与えようというとき、この移動教室のような行政サービスは格好の模範例となろう。
全国的にもっと、このようなキャンペーンが広がってくれることを祈る。